よく言われる"うつ"のメカニズムは正しいのか?

まあ、私はほぼ回復したので言える部分もあるのですが、今となっては世間でもっともらしく言われている"うつ"の一般論は正しいのか?という点です。

たとえば、

  • 性格的、遺伝的にもともとうつになりやすいような素因がある?
  • ストレスや葛藤の回避能力が低い?
  • 社会への適応障害である?

などです。

変な話ですが、私の周りで"うつ"になったようなタイプは、どちらかといえば、そうでない人より、よっぽど"まとも"な人が多いような気がします。

"うつ"には予兆がある?

大抵、「もう、自分ではどうしようもない!」という限界の状態に達してから、メンタルクリニックなどに駆け込んだり、職場で倒れたり、あるいは出社拒否など、ある意味「見た目にもわかりやすい状態」になるので、そういった印象が非常に強く残るのだと思いますが、そういう状態になる前に実は予兆があるのではないか?と今になっていろいろと頭の中で整理できた部分があります。

"うつ"の予兆 その1 「体のコリ、むくみ、ほてり」

いわゆる、ここで言う「まっとうな人」というのは、いろんな意味で「親切」で「心やさしい」人が多いわけです。

そうすると、自分のことでなくても、まるで自分のことのように悩み、怒り、悲しみ、葛藤を共有して、「他人の気持ちを理解しよう」という、一種の疑似体験をするようになります。

そのような強いストレスや葛藤、怒り、悲しみなどを繰り返し体感していると、生体の反応としては、がっちりと「戦闘体制」となるような、いわゆるドーパミンやアドレナリンなどの作用の強いホルモンが血中に大量に流れることになります。

すると何が起こるか?

「戦闘体制」なわけですから、"ぶん殴る"なり"全力疾走で逃げる"なりのエネルギーが筋肉に蓄積されます。

しかし、いわゆる「まっとうな人」はそういうことで人をぶん殴ったりしないわけで、その強大なエネルギーが消費されることなく、筋肉に蓄積された状態になります。

こういう状態になると、筋肉が完全に硬直して腰痛や首・肩こりなどを生じるようになり、血行も悪くなるので、むくみや冷え、ほてりなどを感じるようになるわけです。

こういった症状は、強く感じるときもあれば、しばらくすると感じなくなるといった波があるのが一般的です。
しかし、ここでいう、

「しばらくすると感じなくなる」=「麻痺して感じなくなっている」

ということなので、

「感じなくなった」≠「治った」

ではないことを肝に銘じておく必要があると思われます。

"うつ"の予兆 その2 「深い眠りの時間が減る」

これは、単純に「眠れない」ということだけを指すのではありません。

まず、先に述べたように怒りや葛藤によりドーパミンやアドレナリンなどが大量に放出され、交感神経が異常亢進した状態が続くと、社会的には「バリバリ仕事も遊びもこなせる」なんて状態だったりするわけで、生活リズムとして、睡眠時間が減るということがあります。

また、筋肉に膨大なエネルギーが蓄積され、硬直したままリラックスというか、弛緩することができない状態となり、眠っている間もリラックスができなくなります。
従って、眠っている間も交感神経が亢進し続けるので、眠りの質が浅くなり、実質深く脳や体に休息をとらせるような良質な眠りの時間が減り、いくら寝ても寝たりない、いくらでも寝られる、いくら寝ても疲れがとれないという状態になるわけです。

"うつ"の予兆 その3 「食欲不振」

消化器系の臓器は副交感神経優位のときに活発に動作します。
従って、眠っている間に活発に活動するわけですが、先に述べたように交感神経が異常に亢進している状態が続くので、消化器系の活動が低下します。

"うつ"の予兆 その4 「すぐに怒る」

怒りや葛藤によりドーパミンやアドレナリンなどが大量に放出され、交感神経が異常亢進した状態が続き、「戦闘体制」を維持しているわけですから、ちょっとしたきっかけでも「怒り」のトリガーがバチッと入りやすくなるわけです。

ストレスや葛藤によって、明らかに「怒りに対する閾値」が低くなり、ちょっとしたことでも受容できなくなるといった、心の落ち着きを保てなくなってきます。

うつになった人は最終的には怒りのコントロール方法について学ぶことになりますが、とにかく「怒り」を自覚できたなら、すぐにその場を離れて、散歩をするなりして、体に溜まったエネルギーをゆっくり放出しましょう。

#ここでポイントなのは、「スポーツをしよう」とか、
#「運動をしよう」なんて真面目に考えないことです。
#ただでさえ、心身ともに疲れているのですからそんな気力はありません。
#そういう気力があるときはよっぽどエネルギーが有り余っている
#不健康な状態であると思ったほうがいいでしょう。

"うつ"の予兆 その5 「思考が循環する」

なんだか、いつもいろいろなことが頭の中でグルグル回っているようであれば、もうすでに冷静な判断ができない状態にあります。

通常、自分がそういう「思考が循環する」状態にあることを自覚できるようになるのがまず難しいです。

うつになって、最初にやるトレーニングは「常に客観視」することです。

あくまでもイメージですが、浮遊霊のようにその場にもう一人の自分がいて、周りの状況や自分の状況を常にずーっと見ていて、自分が一体どういう状況になっているのか?ということを常に観察するというトレーニングです。

大抵、「人のことは良くわかるけど、自分のことはからっきしわからない」のが世の常ですが、あえて、「自分のことを他人の目から見る」ということを自分で同時に行うことで、「怒っている」のか、「不安」なのか、「葛藤がある」のかといったことが、自分で判るようになります。

こういった考えは、「認知療法」といわれるものの一種です。

もし、思考がグルグル回っていると感じることができたとしたら、

  • 100から0まで高速に数える。
  • シャープペンシルを何回ノックしたら芯が出るか?数えてみる。
  • ボールペンを何本かまとめて折る。
  • 紙にガーッと落書きしてから、思いっきりグシャグシャと丸めて捨てる。

など、グルグル回る思考を止めるきっかけになるような行動をやってみる。

#数を数えながら何かを考えることは普通は難しいです。

これは、いわゆる「行動療法」という考え方の一種です。

これらの対策は?

怒りや悲しみ、葛藤などのストレスと全く無縁で過ごせるような人はそうはいません。
では、こういったストレスをどのように回避したり、解消するか?ということが問題になります。

まず、怒りや不安を感じている場合、あなたの体は頭は冷静であっても、少なくとも肉体のほうは「臨戦態勢」になっています。

これを適度に発散、代謝してやる必要があります。

そういう意味では、マンガにあるようなサンドバッグに上司の似顔絵を貼ってヘトヘトになるまでぶん殴るというのはあながち馬鹿にした話ではないのかもしれません。
そのことで、筋肉や血中のアドレナリンやドーパミン代謝させれば、いずれ筋肉は弛緩することができ、リラックス効果が得られるからです。

まあ、普通の家にはサンドバッグなどはないでしょうから、枕や布団を殴るのがせいぜいがもしれませんが、そうやって「実際に筋肉を動かして莫大なエネルギーを代謝する」ということが重要だと思われます。

リラックス感が得られると、睡眠の質も自然と良質になります。

風呂に入るのも、膨大なエネルギーを発散してからでないと意味がありません。

#これは疲れているとか、疲れていないという問題ではないです。

なんだか、書きたかったことはまだまだあるのですが、また次回にします。