特定行為を家族が拒否DNRするケースについて

トラバに失敗したので、リンクを貼り付けて起きます。

救急救命士たちの待機室

このお話は救命のために最善を尽くそうとしたところ、家族から待った!のかかった事案です。介護、倫理、救急隊の使命、いろいろなものが絡み合った難しい事案でした。


このテの話は、私が大学病院に出向していたときにも、しょっちゅう起きていて、毎回同じ議論を繰り返していました。

この気管内挿管のケースでは、周囲に身内がいるので、延命治療拒否の同意書をとり、身内の意向にそって処置をしないのが適切だと私は思います。

#まあ、私としては患者の命を救うために医療機器を開発したり、輸入したりしている
#ので、私個人の信念とはなかなか一致しないのがつらいところです。

もし、延命治療をして基幹病院までたどりついたとしても、その後の治療で同様か、それ以上の問題に発展してしまうのです。

一番つらいのは、
・脳機能障害などの重篤かつ治療の見込みのない合併症が残る場合。
・人工呼吸器や補助人工心肺(PCPS)を接続して、一命をとりとめたが、
 離脱できないケース
です。

とくにPCPSの接続に成功して、一命をとりとめた場合は患者の意識も戻り、冷静に状況が判断できるようになります。

すこし様子をみて、PCPSがはずせるようになればよいですが、心臓が補助人工心臓に頼ってしまい、もとの機能を取り戻せなくなってしまった場合、PCPSからの離脱ができなくなります。

このとき、患者や身内の考えることは、
・この補助人工心臓に活かされているから止まる(止める)と死んでしまう。
・PCPSは回路の交換の費用などで、1週間で1千万くらいの医療費がかかります。1ヶ月
 生長えると4千万ですから、一戸建て1つ分くらいの費用がぶっ飛びます。
ということです。

さらに問題なのは、
・患者が延命拒否したところで誰も止められない。
 →安楽死は基本的に認められていないからです。
ということです。

医療スタッフの側からすると、こういうケースでは身内からの相談をうけて、こっそりと積極的な治療をやめて自然死に導いてくれるところは理解があり、親切なところだと思いますが、技術がある病院ほどこういう話が通じないところもあります。
また、折角ここまで容態が持ち直したのに、自分でPCPSや人工呼吸器の電源を切る-つまり自殺・殺人の幇助をするというのは、まじめな医療スタッフほど心理的に耐えられないのです。

結論から言うと、救急の現場で延命拒否の意思が示された場合は、できるだけその要望に添うべきだと思います。
なぜなら、救急の現場で助けて病院まで連れて行くと、さらに話が大きくなるからです。

#救命士は本当に板挟みで大変だと思います。
#でも、そういう状況だからこそ、知恵と機転が必要とされるのだと思います。
#がんばってください。