致死性不整脈疾患 - ブルガダ症候群とは?
前の記事でSIDSとブルガダ症候群について書いてはみたものの、
「ブルガダ症候群って何?」
ってところから始まってしまうかもしれないので、一応、簡単に説明しておきます。
【ブルガダ症候群(Brugada syndrome)とは?】
ブルガダ症候群は致死性不整脈が発生する可能性の高い疾患です。
これは遺伝性の病気であり、家族歴と非常に密接な関係があります。
原因は、心筋細胞のイオンチャネルに関連する遺伝子の突然変異によるものです。
一般の心臓疾患とかなりかけ離れた特徴があるのは、
・普段は健康そのもの。心臓病とは無縁の人でほとんど自覚症状がない。
→あるとすれば、失神ですが、失神の自覚症状があって、まだ生きているというのはかなりラッキーな例です。発作が発生すれば、大抵死んでしまいます。
・運動やストレスなどの負荷がかかっているときに発作が起きるのではなく、相対的にリラックスしたときに発作が起きる。
→逆に、運動をやめて休んでいるときに発作が起きたり、寝ている間に発作が起きます。
・心電図上のST変化が特殊である。
→STが上昇するのは、不安定狭心症を含むj虚血性心疾患の場合が多いが、ブルガダ症候群の場合は、Coved型、Saddleback型という、通常のST上昇とは違った形状のST変化が見られる。
・東洋人に多い。
→遺伝子疾患なので、人種が関係あります。医学の世界はまだまだ欧米主導であるため、ブルガダ症候群の研究はすこしスローペースであった時代があります。
→日本古来から、「ぽっくり病」なんていう呼ばれ方がありましたが、その正体はこれではないか?と言われています。
・日本人の有病率は0.1%程度
→逆に考えると、1000人に一人の割合なので、結構高いです。
・子供だけでなく、意外と30〜40代でぽっくりいくこともある。
→ストレスが定常的にかかるようになる年代なので、ほっとした瞬間に発作が起こるようです。
ということで、悲観的な情報ばかり並べてしまいましたが、もうすこしポジティブなインフォメーションも欲しいところですね。
【発見方法】
・(親類が原因不明の突然死をしている場合)遺伝子検査をする。
・24時間12誘導ホルター心電図をとって、安静時のST上昇がないかどうか検査する。
・心臓カテーテル検査(EPS検査)で不整脈が誘発されるか検査してみる。
【治療方法】
・ICD(植え込み型除細動器)を植え込む。
→対処療法です。エアバッグみたいなものです。でも死亡という最悪の事態は避けられます。
・アブレーション(心筋焼灼術)にて、異常の原因となっている心筋を高周波エネルギーを用いて破壊する。
→唯一の根治療法です。
→日本でこれができる施設や先生は、まだまだ少ないです。病院と先生をちゃんと選びましょう。
・発作が起きたら、即AEDで致死性不整脈を止める。
→シチュエーションや、周りの人に恵まれていたらとりあえず助かります。
→機会があればみなさんもAEDの講習を受けましょう。タダだし、意外と役に立つかも。
まあ、私はちょっとこの周辺の仕事をしていたりして、子供の突然死を防ぐために学童検診(小1、小3、中1、高1)で、手軽にできる12誘導ホルター心電図検査を義務化するよう働きかけていたのですが、未だ実現していません。
#役不足ですんません。